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抗菌薬の適正使用について

これから気温が下がり感染症が増える季節となりました。

重い持病の無い方にとって感染症とは、ほとんどが風邪(ウィルスによるのど、鼻の痛み、咳、痰)とウィルス性胃腸炎です。ウィルスには抗菌薬(抗生物質)は全く効きません。これは、多くの抗菌薬が細菌の細胞壁合成を阻害するので、細胞壁を持たないウィルスには意味が無いためです。
インフルエンザに使うタミフルは、抗菌薬ではなくインフルエンザのみに有効な抗ウィルス薬です。一般的なウィルスに効く薬はありません。

医者にかかって風邪ですねと言われたのに抗菌薬を処方されたことがある方が多いと思いますが、これは完全に間違いで不勉強です。抗菌薬の濫用について、ようやく厚労省から適正使用に関するガイドラインが出ました。これで、不適切な使用が減ってくれればいいのですが。

濫用していると、薬の効かない耐性菌が増えます。例えば、処方箋無しで抗菌薬を買えるインドは超強力な耐性菌が跋扈していることで有名ですし、日本でもMRSAが病院以外で発生しています。また、腸内細菌はビタミンの合成、食物繊維の分解など重要な仕事をしておりますが、これを抗菌薬が殺してしまいます。最近では、アレルギーを始め様々な病気を腸内細菌の異常が引き起こすとの学説もあります。

余談ですが、フロモックスやセフゾンといった一部のセフェム系薬剤はほとんど吸収されないため、DU(だいたいウンコ)と業界では呼んでいます。

抗菌薬を使わなければいけない病気で頻度の高いものには肺炎や膀胱炎があり、これに関しては細菌検査で原因菌を確定して適切な抗菌薬を選んでいくという複雑な診療が必要になります。したがって、ちょっと熱出た、抗菌薬飲んだ、治った、はいおしまい、という診療は無いということです。
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